野村不動産ホールディングス株式会社様

新築タワーマンションにエレベーター自動連携型の清掃ロボットを導入。
「RoboticBase®」による高度な運用で、共用部清掃を約20%省人化。

野村不動産ホールディングス株式会社様
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Summary

  • 複数台ロボットとエレベーターを「RoboticBase®」でスムーズに連携。
  • 複数ベンダー間の動きをTISIが調整しプロジェクトを強力に牽引。
  • 約20%の省人化による余力を“人にしかできない業務”へ集中。
  • 将来的に配送や警備ロボットも一括管理できる汎用プラットフォームを確立。

背景

――今回、清掃ロボットを導入された建物と、その目的について教えてください。

松本: 対象は、相模原市の地上41階建ての新築分譲タワーマンション「プラウドタワー相模大野クロス」です(2025年10月竣工、2026年1月入居開始)。居住用分譲マンションにエレベーター自動連携型の清掃ロボットを導入するのは、当社グループ初の試みです。
導入の一番の目的は、業界で深刻化する清掃スタッフ・管理者不足や、管理費高騰への対応です。あわせて、本物件の象徴的な先進機能として、付加価値をさらに高める意図もありました。

松本 英里氏
浅野 文男氏

浅野: 建物管理を担う野村不動産パートナーズの立場としても、清掃スタッフの人員確保の難しさは日々実感していました。当グループの強みである「365日全フロア清掃」という丁寧な管理体制と高い品質を維持するため、ロボットによる労働力の補完は急務ととらえていました。

松本: 「プラウドタワー相模大野クロス」で清掃ロボットを導入できたのは、共用廊下が天候の影響を受けない内廊下構造であるとともに、居住者様と干渉せずに移動できる荷物用エレベーターを備えていた点が大きかったですね。設計初期からロボット導入を想定し、床の段差を減らしたり、廊下で走行ルートを十分に確保できる設計をするなど、建築面での配慮も反映していきました。

――ロボット導入計画は具体的にどのように進められたのでしょうか

植木: 野村不動産(施工・販売)、野村不動産ホールディングス(DX支援)、野村不動産パートナーズ(建物管理・現場運用)の3社によるグループ横断のチームを立ち上げました。そしてまず、広大な共用部廊下を365日カバーするため、6台の清掃ロボットの導入を決めました。
次に目指したのは、ロボットが指定時刻に指定場所を清掃し、そのあと別の階に自ら移動する「エレベーター自動乗降」を実現させる仕組みです。
ロボットは物理ボタンを押すのではなく、システムを通じてエレベーターを電子的に呼び出して制御します。ロボットと建物設備を連携させるため、OSにあたるRMS(ロボットマネジメントシステム)が必須となり、候補となるプラットフォームの検討をスタートしました。

植木 雄斗氏

選択

――制御用プラットフォームとして「RoboticBase®」を選んだ理由は?

植木: 候補を比較検討し、最適と判断したのが、TISIが提供するマルチロボット統合管理プラットフォーム「RoboticBase®」です。最大の決め手は、スマホのブラウザ上で出発点と到着点を直感的に指定しやすいインタフェースと、分かりやすい操作性でした。

浅野: 操作画面は、ロボットの稼働にトラブルが起きた際のアラート通知や、走行履歴・バッテリー残量の可視化など、現場の清掃スタッフに必要な機能が過不足なく揃っていると感じました。

植木: DX戦略部としては、システム面の優位性だけではなく、何よりTISIの持つロボットに関する卓越した知見への信頼が、パートナーとして採用する最終的な決め手になりました。

勝村 元亮氏

――TISIにはどのような役割・推進力を期待しましたか?

勝村: 本件はロボット・エレベーター・Wi-Fi環境構築など複数の事業者が関わるマルチベンダー型プロジェクトです。制御用プラットフォームの構築以外にも、専門知識に基づく関係者への指示出しやスケジュール調整など、全体を強力に牽引してくれることを期待しました。

松本: 実際、TISIが加わる前は「どうプロセスを組み予定を立てるか」さえ手探りで、プロジェクトが停滞気味でした。それがTISIの参画後、ウォーターフォール型開発の考え方に基づき、課題抽出から全体設計、実証実験、マイルストーン設定まで体系化し全体管理を主導してくれたことで、一気に導入のスピードが加速しました。

導入

――前例の少ない居住用マンションでのロボット導入で、住民に配慮したことは?

松本: 生活空間へのロボット導入は、オフィスビルや商業ビルとは違った種類の安全面のハードルが存在します。そこでTISIと一緒に「子どもが近づいた場合にどんな事故が起こりうるか」といった想定されるケースを洗い出し、どういう運用スタイルが最適か、またロボットにどういう挙動をさせるかといったルールを決めていきました。

浅野: 騒音が生活の妨げにならないよう、ロボットによる清掃作業は日中帯(午前9時〜午後1時)に限定することにしました。また、ロボットメーカーに依頼し、走行映像を録画するカメラをロボットに搭載してもらうといった工夫も施して、安全対策にも万全を期しました。

――どのような技術的課題があり、それをどう乗り越えましたか?

勝村: 特に苦労したのが、通信環境の安定化です。当初はロボットを制御する通信方法として携帯電波(LTE)を想定していましたが、高層階はLTEが届きにくいため、急遽各階のエレベーター近くにWi-Fiポッド(アクセスポイント)を新設しました。エレベーター内はWi-Fiが届かないので、TISIには「かご内のロボットの通信は切れるもの」という前提でプログラムを組んでもらいました。これにより、移動先フロアでエレベーターのドアが開いたタイミングで、ロボットがそのフロアのWi-Fiポッドの電波をつかんで走行指示を受け取るという、スムーズな動きが実現できました。

効果

――内覧会での反響や、実際に運用開始後の手応えはいかがですか?

松本: 内覧会で、実際にロボットが稼働する様子を展示したところ、お子様連れのご家族を中心に、先進性や管理の面で興味を示された方も多く、大変好評でした。当グループの強みであるきめ細やかな管理品質の高さがアピールでき、ブランド力の向上にもつながっていると感じました。

浅野: 実際の清掃業務においても、高い品質に満足しています。内廊下の床面をムラなく吸塵清掃するのはロボットが得意とする作業で、人間と同等以上の高い品質を維持できています。
管理の手間もほとんどかかりません。毎朝清掃スタッフがスマホからスタート指示を出すと、2階のロボットの待機位置から6台が一斉発進し、荷物用エレベーターで担当階へ移動して清掃を開始します。その後も自力で次の指定階へエレベーター移動しながら清掃を行い、すべての担当エリアが終わると再びエレベーターで2階の待機位置へ戻ってきます。現場の手をかけなくても自律的に動いてくれる点でも、大きな導入効果を感じています。

――ロボットによる清掃は、どのような効果をもたらしていますか?

浅野: 目標としていた「清掃業務全体で約20%の省人化」を達成でき、深刻な人手不足の解決に向けて前進できたと思います。単に人を減らすことが目的ではなく、生み出した余力を他の「人にしかできない付加価値の高い業務」へ集中配置できるようになったことが、最大の成果だと感じています。

――最後に、今後の展開とTISIへの期待をお聞かせください。

浅野: 今回のタワーマンションにおける清掃ロボット運用経験をパッケージ化できれば、当社グループの他の物件への横展開にもつながる可能性があります。その実現に向けて、TISIにも引き続き相談に乗っていただければと思います。

植木: 今後はRoboticBase®に蓄積された稼働データやエラーログを利活用・分析した結果に基づく、清掃プランの最適化も検討中です。将来的には配送ロボット等の導入も視野に入れ、複数ロボットが共存する次世代型「マンションDX」の実現へ向けて、TISIには今後も強力なパートナーシップを期待しています。

Company Data

野村不動産ホールディングス株式会社
本社:東京都港区芝浦一丁目1番1号 BLUE FRONT SHIBAURA TOWER S
設立:2004年
事業内容(グループ):マンション分譲事業、戸建分譲事業、投資・開発事業、ビルディング事業、建築・設計事業、資産運用事業 など
URL:https://www.nomura-re-hd.co.jp/

TISI担当者から

金枝 宏明

TISI株式会社
ビジネスイノベーション事業部
ストラテジー&デジタルコンサルティング第1部
エキスパート
ロボットソリューションスペシャリスト
金枝 宏明

山口 建

TISI株式会社
ビジネスイノベーション事業部
ビジネスイノベーションM&S部/チーフ
山口 建

導入フェーズでは、現場におけるロボットの挙動の課題に対して、RoboticBase®側の機能改修や実装による解決策をあらゆる視点から検討し、実地検証を繰り返して安定運用につなげることができました。
本件は多数の関係者が関与するマルチベンダープロジェクトですが、利害調整を図りながら適切なマイルストーンを設定することで、円滑な推進に努めました。また想定外の課題が発生した際は、即座に関係者が対面で集まって意見を交わし、一丸となって解決策を導き出せたことが印象に残っています。
TISIは、ロボットや設備とAIを連携させるフィジカルAIにも注力しており、現場での活用も見据えています。ロボットや設備が自律的に動く次世代の運用スタイルもご提案しながら、お客様が目指すビル管理DXの未来像の実現をお手伝いできればと思います。

※本文中の社名、製品名、ロゴは各社の商標または、登録商標です。

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更新日時:2026年10月20日 11時0分