AI駆動型のセキュリティ運用とは

目次

  1. はじめに
  2. AIによる脅威とは
  3. AI攻撃への打ち手を整理する
  4. セキュリティ運用プラットフォームとは
  5. AI駆動型のセキュリティ運用とは
  6. Cortex XSIAM とは
  7. 自社で導入・運用する際の課題
  8. TISI「Cortex XSIAM構築・監視サービス」
  9. まとめ

はじめに

企業におけるAI活用が徐々に広がる一方で、サイバー攻撃の世界でもAIの活用が急速に進んでいます。
攻撃者は、情報収集やフィッシングメールの作成、マルウェア開発など、さまざまな攻撃プロセスにAIを取り入れ始めています。
さらに2026年6月、Anthropic社はサイバーセキュリティに特化したフロンティアAI「Claude Mythos」を発表しました。
このモデルでは、主要なOSやWebブラウザに存在する未知の脆弱性(ゼロデイ脆弱性)をAIが自ら発見し、実際の悪用につながるところまで検証できることが示されています。
これまで高度な知識や経験を持つ専門家が担ってきた脆弱性の発見や攻撃手法の検証を、AIが支援・自動化できる時代が現実のものになりつつあります。

こうしたAIの進化は、企業や組織に大きな恩恵をもたらす一方で、サイバー攻撃をより高度化・高速化させる新たな脅威にもなり得ます。
攻撃側がAIを活用する時代において、防御側にもAIを活用した、より迅速かつ高度な対応が求められています。

本コラムでは、AIを活用したサイバー攻撃に対抗する新たなアプローチとして、近年注目されている「AI駆動型セキュリティ運用プラットフォーム」について紹介します。
AI時代に求められるセキュリティ対策を考えるうえで、今後の取り組みの参考にしていただければ幸いです。

※出典:Anthropic「Claude Mythos Preview」評価レポート(2026年6月)

AIによる脅威とは

AI時代の新たなセキュリティリスク

AIという言葉が日々飛び交うようになった昨今の社会。
生成AIやAIチャットは急速に普及し、今や仕事やプライベートのさまざまな場面で活用されるようになっています。
私たちの生活やビジネスを加速度的に便利にするAIですが、その技術を利用するのは、必ずしも善良なユーザだけではありません。
サイバー攻撃の世界でもAIの活用は進んでいます。
攻撃者はAIを利用することで、新たな攻撃手法を生み出すだけでなく、これまで人の手で行っていた情報収集や攻撃手法の検討、実行といったプロセスを、より高速かつ大規模に自動化できるようになりつつあります。
こうした「AIによるサイバー攻撃の高度化・高速化・自動化」は、AI時代における新たなセキュリティリスクとして認識され始めています。

AI技術を用いた攻撃手法
① 生成・なりすまし

説得力の高いフィッシング文面、音声・画像・動画の偽装、個別最適化された詐欺を大量生成。

② ゼロデイ攻撃調査・開発の高速化

脆弱性調査、コード生成、マルウェアの改良、回避手法の試行を短いサイクルで反復。

③ 攻撃工程の自律化

偵察、侵入、資格情報探索、横展開など複数工程をAIエージェントが連鎖的に実行。

④ 未制御の生成AI

プロンプトインジェクション、機密情報・APIキーの漏洩、未承認AI利用によるデータ持ち出し。

※出典:①FBI IC3 PSA(2024.12)/②OpenAI「Disrupting malicious uses of AI」(2025.6)/③Google GTIG(2026.5)・Anthropic(2026)/④NVD CVE-2025-61589(2025.10)

直近の事例から見える「AI攻撃」の進化

ここ数年で、サイバー攻撃におけるAIの役割は、「攻撃手順を助言するツール」から、「複数の攻撃プロセスを自律的に実行・連携する存在」へと進化しつつあります。
企業は今後、AIによって高度化・高速化するサイバー攻撃を前提に、セキュリティ対策を考えていく必要があります。
右の数字は、その変化を裏づける一例です。
Anthropicの観測では、AIの悪用は特定の攻撃工程にとどまらず、攻撃プロセス全体へと広がっています。また、危険度が高いと分類されたアカウントの割合も、1年間で33%から56%へ増加しています。
AIを活用したサイバー攻撃は、その「高度化」だけでなく、「拡大」と「加速」という点でも、無視できない脅威になりつつあります。

では、企業はこうした変化にどう備えるべきでしょうか。
対策は一つではありません。
まずはAIを活用した攻撃への対策を整理し、その対策がどこに効くのかを見ていきましょう。

※出典:FBI(2024)、OpenAI(2025)、NVD CVE-2025-61589、Google GTIG(2026)
右パネルはAnthropic(2025年3月〜2026年3月・832アカウントの分析)

AI攻撃への打ち手を整理する

セキュリティ対策に立ちはだかる人的リソースによる対応の限界

セキュリティをさらに強化するためには、不足している領域へのセキュリティ製品の導入、運用体制の強化、ルールやセキュリティポリシーの見直しなど、さまざまな対策が考えられます。
しかし、こうした対策を進めるうえで、多くの企業が共通して直面する課題があります。それが「人」の問題です。
新しい製品を導入しても、運用するのは人です。ルールを整備しても、それを継続的に運用するのは人です。日々発生する大量のアラートから、本当に対応が必要な脅威なのかを判断するためにも、人の知識や経験が必要になります。
一方で、攻撃側ではAIによる高度化・高速化・自動化が進んでいます。常時探索・常時攻撃が続く状況に、人が発見し、人が判断し、人が対応する運用モデルでは追いつきません。
つまり課題は、対策が弱いことではなく、運用そのものが人手を前提としていることにあります。人員を増やし続けても、この限界は超えられません。
そこで重要になるのが、「人を増やす」のではなく「運用を自動化し、高速化する」という考え方です。
その実現手段として注目されているのが、製品・データ・運用プロセスを“統合”する「セキュリティ運用プラットフォーム」です。ここからその中身を見ていきます。

※4層の整理は本コラムによる。脅威動向はFBI(2024)/OpenAI(2025)/Google GTIG・Anthropic(2026)
④はPalo Alto Networks「Cortex XSIAM Solution Brief」を基に整理

セキュリティ運用プラットフォームとは

“製品の統合”ではなく“運用の統合”

セキュリティ運用プラットフォームとは、エンドポイント、ネットワーク、クラウド、SaaSなど、さまざまな領域のセキュリティデータを集約し、脅威の検知・分析・対応までを一つの基盤でまとめたソリューションです。
ただ、ここでいう「まとめる」とは、単に製品を同じベンダーで揃えることでも、複数の画面を一つにまとめることでもありません。
これまで個別に行われていた「データの収集」「脅威の検知・分析」「インシデントへの対応」、そして「日々のセキュリティ運用」を、共通の基盤上で一連のプロセスとしてつなぐこと。
それが、セキュリティ運用プラットフォームにおける「統合」です。
そして近年、この統合された基盤にAIを取り入れ、分析や判断、対応のさらなる高度化・自動化を目指す「AI駆動型セキュリティ運用」が注目されています。

※本テーマは関連コラム『Cortex XSIAMで変える、これからのセキュリティ運用』でもご紹介しています
https://www.tisi.jp/special/XSIAM_01/

「AI駆動型」のセキュリティ運用とは

AIを“チャット”ではなく“運用プロセス”に組み込む

AI駆動型のセキュリティ運用とは何か。AIを使う、と聞くと、チャットで質問して答えをもらうような姿を思い浮かべる方が多いかもしれません。
それもAI活用の一つです。しかし、日々発生する大量アラートに対し、その都度AIに問いかけ、回答を確認して対応するだけでは、運用の負荷を大きく変えることはできません。
AI駆動型セキュリティ運用が目指すのは、その一歩先です。
AIが継続的にセキュリティデータを分析し、脅威を検知・調査して対応方針を導き出し、あらかじめ定められた範囲では初動対応を自動的に実行する。
つまり、AIを単なる「運用者を支援するツール」ではなく、「セキュリティ運用をともに担う存在」として活用していく考え方です。
これにより、セキュリティ運用に必要な人員を増やし続けることなく、日々の定型的な監視・調査・対応を効率化できます。
そして人は、AIによる判断や対応が適切であるかを評価し改善することと、AIでは判断できないクリティカルな対応に集中できるようになります。
「人がすべてを処理する運用」から、「AIが日常運用を担い、人が重要な判断に集中する運用」へと変えていくことが、AI駆動型セキュリティ運用の目指す姿です。

※出典:Palo Alto Networks Cortex XSIAM Solution Brief(AI-driven outcomes/automation-first)
TISI Cortex XSIAM構築・監視サービス

「統合 × AI」で運用はどう変わるか

バラバラのアラートが、一つの攻撃ストーリーになる

では、セキュリティ機能が統合されたプラットフォームとAIを組み合わせることで、どのようなシナジーが生まれるのでしょうか。
まずAIが、セキュリティデータを横断的に分析し、不要なアラートをふるい落としながら、関連するアラートを一つのインシデントとしてまとめます。
これにより、運用担当者が確認しなければならない件数そのものを大きく減らすことができます。
さらにAIがインシデントの重要度や緊急度を判断して優先順位を付け、あらかじめ定められた範囲では、端末の隔離などの初動対応までを自動的に実行します。
人による調査や判断が必要な場面でもAIを活用できます。
担当者は自然言語でAIに質問し、インシデントの概要や影響範囲、調査のポイント、次に取るべき対応などを対話しながら確認できます。
つまり、「大量のアラートを整理する」「優先順位を判断する」「初動対応を行う」「調査を支援する」といった一連のセキュリティ運用を、AIが継続的に支援・自動化してくれるのです。
セキュリティの専門知識を持ち、24時間365日動き続けるエンジニアが、運用担当者一人ひとりを常にサポートしている、というイメージがAI駆動型セキュリティ運用の姿に近いかもしれません。

※出典:Palo Alto Networks Cortex XSIAM Solution Brief(AI-driven outcomes/automation-first)
TISI Cortex XSIAM構築・監視サービス

Cortex XSIAMとは

現代のSOC向けAI駆動型セキュリティ運用プラットフォーム

ここまでは、セキュリティ運用プラットフォームとAI駆動型セキュリティ運用について、一般的な概念として説明してきました。
ここからは、それらを実現する製品の一例として、Palo Alto Networks社の「Cortex XSIAM」を紹介します。
同社は、この製品を「現代のSOC向けAI駆動型セキュリティ運用プラットフォーム」と位置づけています。
その特徴は、大きく「SOC機能の統合」「セキュリティデータの集約・分析」「プレイブックによる運用の自動化」の3つに整理できます。
それぞれ、具体的にどのような仕組みでセキュリティ運用を変えていくのかを見ていきましょう。

① Converged Platform

XDR、SIEM、SOAR、ASMなどのSOC機能を統合。
データを継続収集・正規化し、コンソール切替や個別連携を減らす。

② AI-Driven Outcomes

複数データソースのイベントを接続し、低信頼イベントを高信頼インシデントへ集約。
リスクスコアで優先度を付ける。

③ Automation-First

調査・通知・隔離・遮断など、従来手作業だった処理をプレイブックで自動/半自動化。
対応時間を短縮する。

※出典:Palo Alto Networks Cortex XSIAM Solution Brief(AI-driven outcomes/automation-first)
TISI Cortex XSIAM構築・監視サービス

Cortex XSIAMで実現するAI駆動型SOC

収集から改善まで、一本の運用としてつながる

Cortex XSIAMによって実際のセキュリティ運用はどう回るでしょうか。
同製品では、セキュリティデータの収集・正規化から、AIによる分析・調査、自動対応、そして継続的な改善までを、一連のプロセスとしてつなぐことができます。
こうした仕組みを活用することで、セキュリティ運用の効率化や高度化に大きな効果が期待できます。
ただし、ここで注意しておきたいことがあります。
Cortex XSIAMに限らず、AIを搭載した製品は「導入すれば、あとはAIがすべて解決してくれる」というものではありません。
AIの能力を十分に引き出すためには、データやルール、運用プロセス、そして人の役割も含めて、AIを活用できる環境を整える必要があります。
ここからはAIを取り入れたセキュリティ製品を導入・活用する際に直面する主な課題について触れていきます。

※出典:Palo Alto Networks「Cortex XSIAM Solution Brief」を基に図解

自社で導入・運用する際の課題

製品を入れた後に、必ず出てくる6つの論点

では、AIが十分に力を発揮できる状態をつくるために、何を決める必要があるのでしょうか。
「何を取り込むか」「どう連携するのか」「どこまで自動で止めるか」「夜間は誰がみるか」。決めるべきことは想像以上に多く、しかも一度決めれば終わりというものではありません。
運用が始まってからも、検知ルールをチューニングし、権限や自動化の範囲を見直し、継続的に改善していく必要があります。
自社で導入・運用する場合には、「データ設計」「既存環境との連携」「検知ルールとチューニング」「自動化する範囲と実行権限」「エスカレーション体制」「継続的な改善」という6つの論点に向き合うことになります。
そして、これらはAIに質問すれば答えが出るものではありません。自社の環境や業務、リスク、運用体制に合わせて、人が議論し、判断し、設計・構築していく必要があります。
この最初の壁を自社だけで乗り越えるには、相応の時間とコストに加えて、導入する製品やセキュリティ運用に関する専門的な知識・技術を必要とします。
AIを活用した最新のセキュリティソリューションは非常に魅力的であるものの、多くの企業がこの壁に悩むのではないでしょうか。

① データ/ログ設計

何を取り込み、どの粒度で保持するか。不足は検知漏れ、過剰はコストとノイズにつながる。

② 連携アーキテクチャ

エージェント、API、ログ転送、認証、ネットワークを安全かつ安定的に接続する。

③ 検知・チューニング

標準ルールを自社の資産・業務・脅威へ合わせ、過検知と見逃しを継続調整する。

④ 自動化と権限

隔離・遮断の条件、承認者、切り戻し、例外を決めずに自動化すると業務事故になる。

⑤ 24時間365日の体制

監視だけでなく、深掘り、判断、連絡、封じ込めを担う要員とエスカレーションが必要。

⑥ 継続改善

KPI、SLA、データソース、ルール、プレイブック、権限を定期的にレビューする。

出典:TISI Cortex XSIAM構築・監視サービスの提供範囲を基に、導入・運用上の論点として整理

TISI「Cortex XSIAM構築・監視サービス」

「導入」と「運用」を、まとめて任せる

では、この6つの論点すべてを自社だけで抱えなければならないのでしょうか。そんなことはありません。ここは、我々の出番です。
TISIの「Cortex XSIAM構築・監視サービス」では、現状調査・PoC・設計・構築、24時間365日のリモート監視まで、一貫して支援しています。
AIに任せるところ、社内の人が判断するところ、そして外部の専門家に任せるところ。それぞれの役割を適切に組み合わせることも、AI時代におけるセキュリティ対策の重要な選択肢の一つです。

Cortex XSIAM構築・監視サービスの詳細はこちら

まとめ

AIによる脅威はAIで対策を

攻撃者がAIを使う時代、防御側にも統合されたデータとAIによる分析・自動化が求められています。
AI技術が加速する中、大きな影響を感じていない企業であっても、AIによる高度化・高速化・自動化するサイバー攻撃への備えは、決して先の話ではありません。
重要なのは、AIを搭載した製品を導入することそのものではなく、AIを自社のセキュリティ運用にどう組み込み、どこまで任せ、人がどこに集中するのかを考えることです。
TISIでは、Cortex XSIAMの導入・構築から24時間365日の監視まで、お客様の環境や運用体制に合わせたAI駆動型セキュリティ運用の実現を支援します。
AIによって変わり始めたサイバー攻撃に、AIを活用した新しいセキュリティ運用で備える。本コラムが、その第一歩を考えるきっかけになれば幸いです。

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更新日時:2026年10月9日 15時17分