SAP Snowflakeとは?SAP BDC最新機能でデータとAI活用を加速させる
近年、企業のデータ活用は、データを集約するだけでなく、業務の意味づけを保ったまま、AIが活用しやすい形でデータを整備・共有することが求められる段階へと進んでいます。
こうした中で、2026年からSAPとSnowflakeの連携強化が発表され、SAP® Business Data Cloud(SAP BDC)の機能のひとつとして「SAP® Snowflake®」が組み込まれることとなりました。
さらに、Snowflakeを導入している企業向けに、SAP BDCの間でデータ交換を双方向で行う「SAP® Business Data Cloud Connect for Snowflake」の提供もスタートしています。
本記事では、SAP SnowflakeとSAP BDC Connect for Snowflakeの概要、既存Snowflakeユーザーへのメリット、主なユースケースを紹介します。
SAP Snowflakeとは?
Snowflakeは、AIデータクラウド企業のSnowflake社が提供するクラウド型データプラットフォームです。
データの収集・処理から、分析、モデリング、AIアプリケーションの構築・共有まで、1つのプラットフォームで対応できるため、データのサイロ化を防ぎ、迅速な意思決定を可能にします。
AIデータ基盤の需要が急増する近年、Snowflakeは市場シェアを伸ばし、世界1万2,000社以上の企業が活用するまでに普及しています。
SAP Snowflakeは、このSnowflakeのデータとAIプラットフォーム機能を、SAP BDC上で直接活用できるようにした拡張機能です。
SAPの基幹業務データとSnowflake側の外部データを一元管理し、意味づけを保ったまま統合することで、AIが実際の業務文脈を理解した上で判断・分析できる環境が整います。
SAPのビジネスデータとSnowflakeのデータ処理・AI機能を組み合わせることで、データを活かしたAI活用をより早く、より広く展開できるようになります。
なぜ今、SAPとSnowflakeが連携するのか?
これまでのデータ活用は、各システムからデータレイクにデータを集め、BIツールでダッシュボードを作るという形が一般的でした。
しかしAIエージェントが自律的に動く時代になった今、AIが自分でデータを収集・分析し、基幹システムに対して直接アクションを起こすためには、構造化されたデータをリアルタイムで、かつ品質を担保した状態で渡し続ける必要があります。
そのためには、データを複製・移動するたびに発生するタイムラグや品質劣化を避けることが重要です。データを別の場所にコピーせず、元のデータを直接参照・共有する「ゼロコピー」と呼ばれる仕組みがあれば、正確さと品質を保ったままデータを扱い続けることができます。
SAPとSnowflakeのゼロコピー連携は、まさにこの条件を満たす仕組みです。今回のSAP Snowflake・SAP BDC Connect for Snowflakeの提供は、AI時代のデータ活用が求める要件に正面から応えるアップデートとして位置づけられるのです。
SAP Snowflakeの主な特徴
SAP Snowflakeには、データ連携からAI活用まで一貫して支える3つの特徴があります。ここからは、SAP Snowflakeのそれらの主な特徴を解説します。
ゼロコピー共有でSAPと Snowflakeのデータを統合
前述したとおり、SAP BDCとSAP Snowflakeの間では、データをコピーせずに双方向で共有できます。
そのため、業務上の意味づけをそのまま保ちながら、データを移動するたびに発生するコストや整合性の問題を防ぐことができます。
ビジネスデータを起点にアプリケーションを高度化
SAPのビジネスデータとSnowflakeのAI機能を掛け合わせることで、実際の業務データに根ざしたアプリケーションを素早く作れるようになります。
また、SAP BDCのデータファブリックから供給されるメタデータを活用することで、アプリケーションの精度や機能を継続的に改善し続けることが可能です。
信頼できるデータに基づくエンタープライズ対応のAIを実現
SAP SnowflakeのデータをSAP BDCのナレッジグラフと接続することで、データ同士の関係性や業務上の意味をAIが理解できる形で整理できます。
さらに、SAP JouleとSnowflake Cortexを組み合わせて使うことで、業務目的に合ったAIエージェントを選んだり、独自に構築したりすることも可能です。
これにより、実態のある業務データに基づいたAI活用の実装が実現しやすくなります。
SAP BDC Connect拡張で何が変わるのか?
SAP BDCの連携基盤であるSAP BDC Connectが拡張され、2026年からSnowflakeへの対応が加わりました。既存のSnowflakeユーザーにとって、何が変わりどんなメリットがあるのかを見ていきます。
SAP BDC Connect for Snowflakeとは?
SAP BDC Connectは、SAP BDCのデータとメタデータを外部システムとコピーなしで共有するための連携基盤です。2025年にはDatabricksとの接続に対応しましたが、2026年からSnowflakeも対象に加わりました。
SAP BDC Connect for Snowflakeを使うと、SAP BDCとSnowflake間でデータを双方向に共有できるようになり、すでにSnowflakeを導入している企業は、既存の環境をそのままSAP BDCと接続できます。
既存Snowflakeユーザーにとってのメリット
既存のSnowflakeユーザーにとっての大きなメリットは、Snowflake環境を捨てずに済む点です。
全面的な切り替えを前提にしないため、段階的に連携範囲を広げていく導入計画が立てられます。
連携後はSnowflakeからSAPのデータプロダクトへほぼリアルタイムでアクセスでき、SAP BDC側からもSnowflakeのデータを活用することが可能です。
データの保存場所を問わず、品質管理やアクセス権限を統一して設計しやすくなるため、運用負荷の軽減にもつながります。
SAPとSnowflakeの連携による主なユースケース
SAPとSnowflakeの連携によって、これまで難しかった業務シナリオが実現しやすくなります。ここでは、サプライチェーン・財務計画・顧客体験の3つの領域を取り上げます。
サプライチェーン:事後対応型から予測型への転換
サプライチェーンの領域では、SAP側の在庫・出荷データをデータプロダクトとして連携し、Snowflake側で物流データや天候データといった外部データと組み合わせて分析できます。
これにより、供給リスクを事前に検知して対応の判断につなげるほか、AIエージェントによる供給中断リスクの予測や、在庫・生産計画への影響シミュレーションも可能です。
財務計画:継続的な計画ワークフローの強化
財務計画の領域では、SAPの財務計画や販売実績をデータプロダクトとして共有し、Snowflake側でマーケティングキャンペーン費用やCRMのパイプラインデータと組み合わせます。これにより、販売・マーケティングとリアルタイムでリンクした収益促進が可能になります。
AIによる予測収益モデルを構築し、得られた予測をSAP BDCにフィードバックすることで、仮説シナリオをほぼ即時に実行できます。
顧客体験:プロアクティブでパーソナライズされた対応
顧客体験の領域では、SAPが持つ取引履歴・サービス記録を起点に、Snowflake側で非構造化データや外部情報を補完することで、顧客ごとの状況をより深く把握できます。
センチメント分析や離反リスクの予測、ネクストベストアクションの提示などAIを組み合わせた判断支援を行いながら、顧客体験と生涯価値の向上につなげられます。
データ基盤の進化がAI活用の実装力を左右する
SAP SnowflakeとSAP BDC Connect for Snowflakeの登場により、SAPとSnowflakeのデータをゼロコピーでつなぐ環境が整いました。
業務の意味づけを保ったままデータを活用できるため、迅速な分析やAI活用に取り組みやすくなります。
既存のSnowflake環境を活かした段階的な導入が可能な点も、企業のデータ戦略に組み込みやすい理由のひとつです。
SAP BDCを基盤に、SAPの業務データとSnowflakeの分析・AI機能を組み合わせることで、SAP外のデータも含めたAIによる高度な分析が実現しやすくなります。
データとAIの活用をより一歩前に進めるための基盤として、SAP BDCの最新アップデートをぜひ活用してみてください。
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※ 記載されている情報は、2026年7月時点のものです。また、TISIの見解・解釈を含んでおりますので、詳細・最新の情報は公式サイトをご参照ください。